hozen-career.com
資格の実務攻略9分で読めます

機械保全技能士の設備診断作業とは|1級・2級の試験内容と選び方

著者・監修: 依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

設備診断作業は、機械保全技能検定に置かれた3つの作業区分の1つで、1級と2級だけに設定されています。実技は現物や写真・映像から状態を判別し測定する判断等試験で、1級が10課題100分、2級が8課題80分です。

機械系保全作業や電気系保全作業と比べると受検者の目に触れる情報が少なく、「何を問われるのか」「自分が受けるべき区分なのか」が判断しづらい区分でもあります。総合的な解説記事の中で一節だけ触れられていることが多く、区分そのものを主題にした情報は多くありません。

本記事では、日本プラントメンテナンス協会の試験要項と2026年度実施公示、公式のよくある質問を一次ソースに、設備診断作業の位置づけと試験内容を整理します(いずれも確認日2026-09-07)。

設備診断作業の位置づけ

機械保全技能検定は、特級を除く各級で作業区分ごとに試験を実施します。設備診断作業は1級・2級にだけ設定されており、3級には機械系保全作業と電気系保全作業の2区分しかありません(出典: 2026年度実施公示・試験要項・確認日2026-09-07)。

等級機械系保全作業電気系保全作業設備診断作業
1級ありありあり
2級ありありあり
3級ありありなし
機械保全技能検定の等級と作業区分のマトリクス図。設備診断作業が1級・2級のみに設定され3級にはないことを示す
機械保全技能検定の等級と作業区分のマトリクス図。設備診断作業が1級・2級のみに設定され3級にはないことを示す

3級がないということは、この区分に「入門用の等級」が用意されていないことを意味します。設備診断作業を受けるなら、最初から2級を受けることになります。

受検資格の年数は他の区分と共通で、2級は実務経験2年以上が原則です。3級に合格していれば年数を問われない短縮要件もあります(出典: 試験要項・受検資格の短縮要件PDF・確認日2026-09-07)。3級は機械系または電気系で受けることになるため、そこから設備診断作業の2級へ進む流れも取れます。

試験内容 — 学科は共通、実技が違う

設備診断作業の試験も、学科試験と実技試験の両方に合格することで技能士を名乗れる構造は他の区分と同じです(出典: 試験要項・確認日2026-09-07)。

学科試験は他の区分と同じ形式

学科試験は1級・2級とも真偽法25問と四肢択一式25問の計50問、マークシート方式で100分です(出典: 試験要項・確認日2026-09-07)。形式・問題数・時間は機械系保全作業や電気系保全作業と変わりません。

合格基準も共通で、学科は加点法で65点以上、実技は減点法で41点以上の減点がなければ合格、つまり60点以上です(出典: 同上)。

実技は判断等試験

設備診断作業の実技は判断等試験です。公式は判断等試験を「受検者に対象物又は現場の状態、状況等を原材料、標本、模型、写真、ビデオ等を用いて提示し、判別、判断、測定等を行わせることにより技能の程度を評価する試験」と定義しています(出典: 試験要項・確認日2026-09-07)。

課題数と時間は1級が10課題100分、2級が8課題80分で、解答はマークシート方式です(出典: 同上)。1級のほうが課題数も持ち時間も多く、3つの作業区分のうち、1級と2級で実技に差が付くのはこの区分だけです。

設備診断作業の実技試験の構造図。判断等試験の提示物(現物・標本・模型・写真・映像)と、1級10課題100分・2級8課題80分の違いを示す
設備診断作業の実技試験の構造図。判断等試験の提示物(現物・標本・模型・写真・映像)と、1級10課題100分・2級8課題80分の違いを示す

提示物が「原材料、標本、模型、写真、ビデオ」と幅広く定義されている点は、この区分の性格をよく表しています。実物を分解して直すのではなく、外から得られる情報で内部の状態を判断する技能が問われる構成です。

機械系・電気系との違いと選び方

3つの区分は、対象とする保全作業の系統で分かれています。日常業務との重なりが大きい区分を選ぶのが基本です。

実技の形式そのものが違う

機械系保全作業と設備診断作業は判断等試験ですが、電気系保全作業は製作等作業試験です。製作等作業試験は「受検者に物の作製、組立て、調整、ロールプレイング等で実際に作業を行わせる試験」と定義されており、指定された設備・工具を試験当日に持参する必要があります(出典: 試験要項・公式Q&A・確認日2026-09-07)。

つまり設備診断作業は、機械系と同じ「判断する」系統の試験でありながら、判断の対象が設備の状態そのものに寄っている区分だと整理できます。

選ぶ基準は担当業務の重心

ポンプや減速機などの機械要素の分解・修復が業務の中心なら機械系保全作業、制御盤やシーケンス制御が中心なら電気系保全作業が近い選択です。設備の状態を測定して劣化や異常の兆候をつかむ業務、いわゆる状態監視に携わっているなら設備診断作業が最も業務に近くなります。

判断に迷ったときは、直近1年の作業日報を見て、どの系統の作業時間が最も長いかで決めるのが実務的です。試験対策が日常業務の延長線に乗り、準備の負荷を最も小さくできます。

3つの作業区分の選び方フロー図。担当業務が機械要素の修復か、制御盤か、状態の測定・監視かで区分を分岐させる
3つの作業区分の選び方フロー図。担当業務が機械要素の修復か、制御盤か、状態の測定・監視かで区分を分岐させる

なお設備診断作業には3級がないため、まず3級で検定に慣れておきたい場合は、機械系保全作業の3級を受けてから設備診断作業の2級へ進む形になります。等級と区分の全体像は機械保全技能士とは?等級と3つの作業区分の全体像と選び方で整理しています。

受検当日の実務 — 電卓が使える区分

設備診断作業には、受検当日の扱いで他の区分と異なる点があります。

電卓を使用できるのは、特級の実技試験と設備診断作業の実技試験だけです。四則演算などの標準機能の電卓に限られます(出典: 公式Q&A・確認日2026-09-07)。測定値をもとに計算する課題が含まれる構成であることが、この扱いから読み取れます。

集合時間は、全等級の学科試験が11時、3級以外の機械系保全作業・設備診断作業の実技試験が14時15分です(出典: 公式Q&A・確認日2026-09-07)。

試験時間そのものは1級100分・2級80分ですが、集合から終了までの目安は1級で約140分、2級で約120分とされています(出典: 公式Q&A・確認日2026-09-07)。前後の説明と回収の時間を見込んだ数字であり、当日の予定はこの目安で組むほうが安全です。

受検当日の流れ図。集合時間、電卓が使える区分、集合から終了までの目安時間を1級・2級で対比して示す
受検当日の流れ図。集合時間、電卓が使える区分、集合から終了までの目安時間を1級・2級で対比して示す

腕時計は持参します。会場によっては時計がない、または見にくい場合があるためで、置時計・通信機能や音が出る時計・ストップウォッチは使用できず、携帯電話やスマートフォンを時計代わりにすることもできません(出典: 公式Q&A・確認日2026-09-07)。

学科免除が他の区分へ波及する

設備診断作業を選ぶ判断材料として、免除の仕組みも押さえておく価値があります。

技能検定に合格した人は、合格した作業以外の作業でも、合格等級以下の学科試験が免除されます。たとえば2級機械保全技能士(機械系保全作業)は、電気系保全作業と設備診断作業の3級・2級の学科試験が免除されます(出典: 試験要項・確認日2026-09-07)。

逆に設備診断作業の2級に合格していれば、機械系保全作業や電気系保全作業の2級・3級の学科試験が免除されます。作業区分を広げていく際、2つ目以降は実技に集中できる構造です。

学科免除の波及関係図。設備診断作業の2級に合格すると、機械系保全作業と電気系保全作業の3級・2級の学科試験が免除される関係を示す
学科免除の波及関係図。設備診断作業の2級に合格すると、機械系保全作業と電気系保全作業の3級・2級の学科試験が免除される関係を示す

学科試験の受検手数料は4,600円、実技試験は15,400円です(出典: 2026年度実施公示・確認日2026-09-05)。区分を増やすたびに学科の負担が消えることは、費用の面でも効いてきます。

よくある質問

設備診断作業に3級はありますか

ありません。設備診断作業は1級と2級だけに設定されており、3級は機械系保全作業と電気系保全作業の2区分です(出典: 2026年度実施公示・試験要項・確認日2026-09-07)。

実技試験では何をしますか

判断等試験です。公式は「対象物又は現場の状態、状況等を原材料、標本、模型、写真、ビデオ等を用いて提示し、判別、判断、測定等を行わせる」試験と定義しています。1級は10課題100分、2級は8課題80分でマークシート方式です(出典: 試験要項・確認日2026-09-07)。

電卓は持ち込めますか

設備診断作業の実技試験では使用できます。電卓を使えるのは特級の実技試験と設備診断作業の実技試験のみで、四則演算などの標準機能のものに限られます(出典: 公式Q&A・確認日2026-09-07)。

機械系保全作業と両方受ける意味はありますか

作業区分を増やすと、2つ目以降は学科試験が免除されます。技能検定合格者は合格した作業以外の作業でも、合格等級以下の学科試験が免除されるためです(出典: 試験要項・確認日2026-09-07)。

まとめ

設備診断作業は機械保全技能検定の作業区分の1つで、1級・2級のみに設定されています。学科は他の区分と同じ形式ですが、実技は判断等試験で1級10課題100分・2級8課題80分と、3区分のうちここだけ1級と2級で差が付きます。

設備の状態を測定して異常の兆候をつかむ業務に携わっているなら、日常業務との重なりが最も大きい選択になります。電卓を使える区分である点、学科免除が他の区分へ波及する点も、受ける区分を決めるときの判断材料になります。

関連記事

出典

著者・監修

依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。設備保全・フィールドサービスの資格制度・公的統計・働き方について、試験実施機関・所管省庁等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。

hozen-career.comは、YDAIコンサルティング株式会社が運営する情報メディアです。掲載情報の収録基準・出典の考え方は情報の収録基準と運営方針をご覧ください。

掲載内容に誤りや古い情報を見つけられた場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。内容を確認のうえ対応します。

関連記事